母材・ライニング板間の「閉じた空間」をなくす

Before

ライニングを母材に密着させ周縁を完全に溶接で封じてしまうと、母材とライニングの間隙にある空気などが運転開始後に加熱され膨張したりライニングが加圧されることで昇圧したりすることで漏れ止め溶接部が応力集中を起こし、最悪の場合溶接部の破断による漏洩や爆発に至る恐れがあります。
このため、この「閉じた空間」をどのようにしてなくすか、を設計段階から検討しておく必要があります。

コストダウン事例

After

多くの場合、上図のように周縁溶接部が向かい合う部分に距離をとって当て板で塞ぎ、知らせ穴からエア抜きできるようにします。しかし、当て板の直下に空隙ができると内面の圧力によっては当て板がしなって溶接部に応力が加わる場合があります。その時はさらに敷き板を入れ、当て板が沈まないようにします。
一方、ライニング板が薄く塑性加工しやすい場合は壁紙方式とすると施工が簡単になります。但し、へり部をつち打ちして合わせるので、過剰な残留応力が残らぬような施工上の注意が必要です。

POINT

ライニングの膨れ止めのためのプラグ溶接を品質良く仕上げるでは、ライニングする際のプラグ溶接についてご説明しました。しかし、ライニング材の周縁の固定方法にも同様に慎重な設計と施工が必要です。運転条件や材料の加工性、施工の手間などを総合し、もっとも最適な構造と施工手順を設計段階から考え、材料手配にも反映しておきましょう。

また、溶接によるライニング工法についてはこちらも参照してください。
必要箇所のみニッケル合金で製造してコストダウンする
接液部のみハステロイなどのニッケル合金でライニングしコストダウンする

耐食鋼・耐熱鋼加工.comを運営している都ステンレス工業株式会社では、ニッケル合金の溶接に対する製品事例が多く存在します。こちらを参照ください。

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