第 一 話 なにもの

 世の中には「色」で分類される製品群があります。最も有名なのは家電の「白物」と「黒物」でしょう。今でこそ「白は家事」「黒は娯楽」とのイメージが浸透しており納得ですが、実は黒物はかつて「茶物」と呼ばれていたそうで、世相の移り変わりに伴う感性の変化が窺えます。さて他には、となると、とっさには食用魚(赤物青物)くらいしか思いつきませんが、野菜を「青物」、玩具食肉の一分野を「赤物」と呼んだり、乳飲料や衣類を「白物」と呼んで「色物」と区別したり、石油類の一部にあえて着色して「黒物」と呼び課税区分をわかりやすくしたりと世の中にはさまざまな「色別」があるようです。

 本稿のテーマである非鉄合金にも「色別」があるのをご存知でしょうか?銅合金は「赤物」、ニッケル、コバルト合金は「白物」と呼ばれます。百円硬貨に使われる白銅をはじめ銅を多く含む合金には銀白色のものも多いのですが、製造・販売体制の事情からこのように呼ぶようになったようです。

 さて、「赤物」の中で最もポピュラーな黄銅は非常に綺麗な金色をしています。ある日、黄銅と白物のインゴットが並んだ原料置き場に入ったドロボーさん。てっきり金塊と勘違いし、黄銅をうんせうんせと運び出しました。後で実勢価格を知り、さぞや地団駄を踏んだことでしょう。「しんちゅう」察するものがあります。

  人は見かけによらずと申します。ものの価値も色に左右されちゃあいけません。

「なにもの?」と 問われておじぬ すぐれもの
しろくろつけるに 色は無用と

2021年11月19日

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