板巻き溶接パイプを作る(その3)〜仕上げと追加工

 ここまでの工程で「パイプ」としては完成しましたが、「製品」としてはもうひと仕上げする必要があります。ここからはお客様の仕様などをよく理解の上どのように仕上げるのかご説明します。

定寸切断

 板巻き溶接パイプの両管端は溶接の開始及び終了時の溶接欠陥などが残っています。このため、板取の段階で余長をつけておき、最終工程で高速切断機などで切断調整します。

管端部の仕上げ

 管端部はその用途に応じ下記のような仕上げを行います。

 プレーンエンド

 定尺で出荷もしくはストックする場合のもっとも一般的な仕上げで、パイプの軸と直角方向に切断し角部を糸面取りするものです。PEと表記されます。

 ベベルエンド

 突合せ溶接式管継手に接続するために開先を設ける場合の仕上げでBEと表記されます。JIS規格などで角度とルートフェース寸法が規定されているほか、お客様からの指定がある場合もあります。

 管ネジ(雄ねじ)

 ねじ込み式管継手に接続するために管用テーパネジを切る仕上げです。

追加工

 仕上がったパイプへの追加の加工・処理には下記のようなものがあります。

 曲げ加工

 原則として冷間で行います。パイプサイズと曲率半径の組み合わせによっては高周波曲げによる場合があります。

 内面ビードカット

 二重管構造の外管など内面に挿入物がある場合の内面の余盛を一定の高さに抑えるときに内面ビードカットを行うことがあります。ただし、内面余盛の除去やその高さの測定は難しく、あらかじめ無理のない許容値を取り決めておくことが推奨されます。
 なお、外観検査や放射線透過試験の結果により製作者判断でこれを行う場合があります。

 熱処理

 原則として行いません。

 細管加工

 半導体装置向けなど特殊な用途のため、さらに引き抜き加工を行う場合があります。

マーキングと梱包

 不滅インクや荷札などあらかじめ取り決めた方法で行います。

 

板巻き溶接パイプを作る(その2)〜開先合わせから真直矯正まで

板巻き溶接パイプの試験・検査