溶接熱影響部について学ぶ

 優れた耐食性を持つハステロイを始めとするニッケル合金であっても、使用される環境や部位によっては腐食する場合があり、せっかく高いイニシャルコストをかけて採用しても満足する投資効果が得られない場合があります。中でも下図のような溶接部近傍で起こる腐食現象には深刻なものもあり、事前によく調査・検討しておく必要があります。

 このように、ニッケル合金溶接部の腐食部位の多くは溶接熱影響部に集中しています。ただしその実態を正確に知るには、溶接施工法試験を行なって溶接部のマクロ・ミクロ組織をよく観察し、溶接熱影響部がどのように分布しているかを把握しておく必要があります。また、より詳細に対策を立てるには、実機を想定した複数の溶接条件で試験片を作製し比較することも重要と思われます。

 ニッケル合金は過酷な腐食環境で用いられることから耐食性の効果への期待も相当高くなります。このため、腐食の一番の懸念対象であるこの熱影響部の実態を事前によく把握しておくべきでしょう。

 

ニッケル合金を溶接する

ニッケル合金の溶接開先のカンドコロ