ニッケル合金を溶接する

ハステロイをはじめとするニッケル合金の溶接に用いる溶接機は、特段ステンレス鋼に用いるものと変える必要はありませんが、採用する溶接方法と施工条件に適合する適切な仕様とする必要があります。
 これら合金の溶接では比較的TIGMIGプラズマなどの不活性ガス溶接が多用されます。これには下記のような理由があります。

 ①   合金の性格上多品種少量生産となり、製造コストの嵩む被覆アーク棒フラックス入りワイヤは開発・普及しづらい。

 ②   複数材で構成される機器で、一連の工程内で溶接する材質を切り替えることが多い場合は、切り替えが容易なTIG法が採用されやすい。

 ③ そもそもニッケル合金を選択する機器では合金特性に対する要求レベルが高いため、不活性ガスなどによる高品質なガスシールドが必須となる場合が多い。

 一方、溶接入熱量をコントロールし溶接部の品質を確保するニッケル合金の溶接割れを無くすためには?のように、ニッケル合金の溶接においては溶接入熱量を特にシビアに管理する必要があります。この管理が十分でないと、せっかくの耐食性を発揮できないことに加え、溶接歪みの矯正工程などに手間取り、製造工程に悪影響を与えることになります。

 

 

ニッケル合金の溶接開先のカンドコロ