本当に一ヶ月も食べないの?!

インドネシアの国民の大多数はイスラム教です。イスラム教で求められている断食月(プアサ)と断食明けの休み(レバラン)は国が定めたキーデートにサービス業などを除くほぼ全ての会社が従っているようです。これらの定義としては、

* 断食月(プアサ)=太陰暦における第9の月の新月の日から次の新月の日まで(約1ヶ月)
* 断食明けの休み(レバラン)=断食明けの2日間を国民の休日とする。この日にあいている店を探すのは至難の業(わざ)。殆どの会社がここから1週間から2週間の長期休暇としている。

官公庁役人の早すぎる休暇入りと遅すぎる職場復帰を戒めるメッセージを担当大臣が出す、というのが毎年のお約束ごとになっており、そういうお前はちゃんとリゾートの別荘から愛人と共にちゃーんと復帰するのかね、と世間の人間はしらけた視線を投げかけます。

ご承知の通り月の巡りは30日に満たないので、断食の期間は毎年約10日間ずつ前にずれていきます。えっ?なんで「約」なのか、ですって?開始日はイスラムの長老が直前に「エイヤッ」と決めるので、前もって決まっている日程通りで進む保証はどこにもないのです(会社の休みは基本的に変えませんが)。少なくとも天体望遠鏡によりロジカルに決まるものではないようです。以前プアサの開始予定日の1週間前に政府がそれを1日ずらすと言いだし、それを支持する宗派とそうでない宗派とが出てきて混乱した記憶があります。

 さて、断食中はどうするのか・・・知り合いに聞いてみました。
1. 朝は4時に起きる。すぐにがっぽり食べる。その後出社・登校までお祈り漬け。
2. 朝6時(=日の出)になったら断食開始。飲食・殺生・XXXも禁止。意識して唾を飲むのもだめ。必死に日中耐える。仕事はふつう通りにこなします。
3. 夕方6時に断食終了。一斉に食事へ(レストランは長蛇の列になります)。その後大挙モスク(イスラム教の礼拝所)へ移動し礼拝を繰り返す。
4.(人にもよりますが)23~24時頃就寝。

ちなみに断食の目的とは「貧しい人の気持ちになってみる」という意味があるのだそうです。勿論自己精進の意味も。「ダイエット」と言い切り、断食月でなくても毎週2日律儀に行っている人さえいます。

断食月が終わる(ブカ・プアサ)と一斉にみな道に飛び出して爆竹を鳴らします。経営者は田舎に帰った従業員が帰ってくるかどうか首を長くして休みが明けるのをじっと待ちます。

2022年4月24日

BKK1