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第 十七話 ハル来りなば
お久しぶりです。カンコツです。気づくと前回の投稿からほぼ1年が経っていました(汗)。前回の話題はAIでしたが、いよいよその勢いは増すばかり。毎度お騒がせのトランプさんもさすがに耳タコだったのか「SI」と呼び始める始末。そんな改称くらいで彼の国がマウントを取れるほどやわな世界ではないような気もしますが・・・。とまれ今回も同じようなネタにさせていただきたいと思います。
さて、皆さんは「ハルシネーション」という言葉をご存知でしょうか。「hallucination」は英語で「幻覚」「幻影」という意味。生成AIの分野では、「事実に基づかない回答」や「文脈に合わない情報」を指し、これには下記の二種類があるのだそうです。
*参照資料や入力情報によって裏付けられない内容を生成するケース(外在的ハルシネーション)
*学習データにある情報を、取り違えたり誤った形で「組み合わせる」ケース(内在的ハルシネーション)。
ハルシネーションは忽然と、しかも実にもっともらしく現れます。彼または彼女に全幅の信頼を置いていた私たちが期せずして出くわすと、面喰らい舌打ちし眉を顰め、さては似たような「騙し」が他にもあるのではと勘繰り、やむなく一から見直す羽目に。あげく虚空を見上げ「あーあ、かえって時間がかかっちゃったよ」と愚痴ることもしばしばです。
さて、ここで思い出したことがあります。
カンコツが若い頃、作図は鉛筆で手書きでした。これがCADにとって変わる頃「あんなもんでちゃんと描けるのかあ?」と舐めていたところ、あれよあれよという間に性能も精度も向上し、やがてこれが操れなければ会話にすらついていけない羽目に。年端もいかない作図者がしたり顔で「チェック、お願いしまーす」とCAD図面を携えてくるたび、腹いせに目を皿にした記憶があります。あげく間違いを見つけると「ほーら」とドヤ顔を突きつけ溜飲を下げる始末。ワープロ同様、美麗な活字や精緻な線の連なりは、相当気合を入れないとミスを見逃しかねない、まさに化粧や幾何学模様に通ずる妙な魔力を孕んでいました。
さてAIです。その「もっともらしさ」は今や往時のCADの比ではなく、その進化は日進月歩どころか秒進分歩とでも呼べるほどです。また驚愕すべきはいよいよ「嘘をつく」かのように振る舞うことを覚えてしまったと喧伝されていることです。考えてみれば、凡人の脳みそが数十億の人智を集約したデータセンターに適うわけがありません。ですが、これを「うたがい」「かえりみ」「あらがう」ことが、人間としての矜持や尊厳を保つ基本スキルとして求められる時代に入ってきたと言えるのではないでしょうか。
SF映画の名作「2001年宇宙の旅」では、僚友を次々と失った船長のボーマンが、宇宙船を牛耳るスーパーコンピュータHAL9000と対峙します。その姿はまるでAIの「ハル」の到来を予感させます。ここを克服しなければ人類としての「ハル」を謳歌し続けることはできないのだ、と思えてなりません。
「怖くなってきた……。心が消えていくのがわかる……。デイヴ、私にも感じられるんだ。自分の意識が消えていく。確かにそう感じるんだ……」
2026年10月12日

(このイラストは「HAL9000と対峙するボーマン船長」とのプロンプトでChat GPTが自動生成したものです。実際の映画にこのようなシーンはありませんので念のため)