ハステロイにもいろいろある〜Gシリーズ

Gシリーズとはなにか?

「ハステロイ」といえば、前回までにご紹介したBとCである場合がほとんどですが、開発の流れはここで終わりません。短命だったAの後を受けたBとCの次に世に出たのはGでした。ハステロイはアルファベット順で開発されており、実はこの間に位置する合金シリーズもあるのですが、耐食合金の世界で定着したのはちょっと飛んだG、ということになりました。

 BとCはそれぞれの得意な環境で大変優れた耐食性をもちますが、高価な合金元素を多く含むため価格が高く、またその合金組成の特徴から塑性加工などの加工性が悪いのがネックでした。
 そこで、耐酸化性を確保
するためクロムの含有量はそのままとし、高価で加工性のよくないモリブデンは減らし、代わりに安価で加工性の良い鉄の含有量を上げる、との合金設計を行いました。

 この結果、本来耐食性が劣る鉄を加えたにも関わらず、高温のリン酸や硫酸雰囲気などで優れた耐食性をもち、加工性も良く、しかもBやCよりも安価な合金が出来上がることとなったのです。

■————————————————————————————————-
<無料DL!技術資料: ハステロイって何?>
以下より「ハステロイ」についてまとめた技術資料がDL可能です。


————————————————————————————————-■

 

Gシリーズの進化

 ハステロイGシリーズ

HG

<当サイト「耐食鋼・耐熱鋼 相当品一覧表」より抜粋>

 BやCシリーズでは、オリジナル合金から炭素・シリコンを減ずることにより溶接部の耐食性を改善していますが、Gは最初から安定化元素(ニオブとタンタル)を添加することでこの効果が得られるようにしています。しかし、こうした微量元素はカーペンター20Cb-3などと同様溶接部に低融点化合物を生成し、クレータ割れなど高温割れの原因となる場合があるとされていました。このため、安定化元素を添加せず低炭素としたG−3もほどなく開発されました。
 その後、Gシリーズが得意とする腐食環境でのパフォーマンスを上げるため、さらにクロム含有量をほぼ限界まで高めたG−30やG-35が開発されています。

Gシリーズ選択の決め手とは?

 以上の通り、Gシリーズはハステロイファミリーの中でもっとも高クロムな合金ラインナップとなっています。このため、クロムの含有量が耐食性の決め手となる酸化が厳しい環境ではこのシリーズを選択することが推奨されるでしょう。
 なお、Bシリーズと同様、Haynes社はこのシリーズにおいてもJIS規格相当材を既に製造していませんので適用法規・規格によっては注意が必要です。

 

桐岡 明

執筆者:桐岡 明

溶接工学技術コンサルタント

1981年慶應義塾大学機械工学科(溶接工学)卒。同年三菱金属(現三菱マテリアル)に入社。 以降一貫してニッケル合金製圧力容器・配管の製造技術管理に携わる。2001年より8年間、インドネシア製造子会社駐在(内3年間は代表取締役社長)の後、 営業子会社海外事業部門長(タイ子会社社長、シンガポール支店長を非常勤で兼務)。 インドネシア営業子会社設立、タイBOI取得、ISO2015年度版取得対応などを経験。 溶接技術者特別級、高圧ガス製造保安責任者の取得歴あり。現在は、溶接管理技術、新技術社会実装、安全衛生管理体制確立などを支援中。

ハステロイにもいろいろある〜Cシリーズ

ハステロイの賢い選び方